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読書に関するインタビュー

2 鳥山 貴生(とりやま たかお)さん:本と人との出会いが自己確立に

取材日  平成31年2月27日(水)
聞き手 生涯学習課 清家 矢括
文責  生涯学習課

鳥山 貴生 氏

鳥山 貴生さん プロフィール

 大学卒業後、平成5年宮崎県庁土木部に技師として入庁。平成19年江坂設備工業株式会社入社。取締役、代表取締役副社長を経て平成30年11月代表取締役社長就任。




子どもの頃は本が好きだったのでしょうか?

 小説などの類はほとんど読みませんでした。宇宙や物理などの分野が大好きで、学校図書館で、理系の事典類やその関連の本は読んでいました。


ではいつ頃本を読むようになったのでしょうか。

 それを説明するために、まず自分が今の仕事に就くまでを話させてください。土木の世界に興味を持ち、大学卒業後、県に入庁し、数々の現場を経験後、平成19年4月に江坂設備工業に入社しました。
 入社間もない頃、約半年間、両眼の網膜剥離の治療を受けることになり、入院中、父から京セラの創業者として有名な稲盛和夫さんの講演カセットテープを薦められ聞くことで、経営に対して興味を持つようになりました。
 そこに、稲盛さんの言葉と自分のこれまでの生き方を重ね合わせ、自分の未熟さ、力不足から多くの方に迷惑をかけていたこと、我が社が多くのお客様、社員、関係者から支えられていることに気づくことが出来ました。
 自分の無知・無力さに気づいた時から、恩返ししたい、会社の力になりたい、知見を拡げたいと多くの書籍を読むようになりました。
 読書を通じて、内省した多くの時間が、今の自分の土台になっているのだと思います。


稲盛さんの本がきっかけとなり他の本を読むようになったということでしょうか。

 以前の仕事は建設業の中の土木で、実家の建築設備業とは、畑違いもあり、新たに資格取得が必要でした。そして、基礎学習のために多くの専門書、ビジネス本を一日一冊読むことを自分に課していました。


1日1冊とはすごいですね。

 本は新たな知見をインプット出来る安い投資です。Facebookで著者をフォローし、継続的に考え方に触れ、様々な勉強会に出て行っては、仲間、時には著者に直接会って話すことで、アウトプットを最大限にすることを心がけていました。


現在よく読む本のジャンル等はありますか?

 今は人材不足の中で採用関連、組織づくり、人財育成に関する本を読んでいます。成果として、健康経営を推し進め、昨年は宮崎県の『ひなたの極み認証』を取得することが出来ました。


鳥山 貴生 氏

読む本はどのようにして選んでいますか?

 ビジネス書を読むことが多いです。日本経済新聞で紹介されている本をネットでチェックして購入、また、ビジネスブックマラソンという土井英司さんという人が書評するブログで、気に入ったものがあれば購入しています。良かった本はSNS等で紹介することもあります。


本はどのように入手していますか。

 最近は、電子書籍を購入することが多いです。出版されていなければ、紙の本を購入致します。


電子書籍はよく読むのでしょうか。

 はい。紙の本と電子書籍では、電子書籍が安いので、セール時に読みたい本をまとめて購入します。
蔵書は、1,000冊を越えています。


電子書籍と紙の本の使い分けをしているのでしょうか。

 紙の本は保管場所をとりますが、電子書籍はその心配がありません。何度も読む大事な本は紙で残すようにしています。
 また、電子書籍でいいのは気になるフレーズをハイライトで印をつけて、クラウドにその部分をストックすることができるところです。
 引用する必要のあるフレーズがあるとき紙の本だと、その箇所を探し出して一文字ずつ書き写すことになりますが、電子書籍はストックしたところから検索でさっと見つけて、取り出すことができます。好きなフレーズはコピーして友人に送ったりしています。


紙の本もインターネットで入手しているのでしょうか。

 ほとんどはインターネットですが、家族で買い物するとき本屋に寄ることもあります。本屋を回遊することで色々並ぶ本のタイトルを眺めて、その本にどんなことを書いてあるのか想起し、気に入ったものは購入し、本との出会いを楽しんでいます。


公共図書館は使っていますか。

 図書館は借りても本に線を引くわけにいかないのであまり使っていません。
 しかし、購読していない業界新聞、ビジネス雑誌を閲覧する時に利用しています。
 また、リスク管理のため、ビジネス支援コーナーの10万円以上する『帝国データバンク会社年鑑』や『東商信用録』を調べることはあります。
  図書館の新聞コーナーでは、消費者流行を理解するため日経MJや流通新聞をよくチェックします。


特にこれまでで読んだ中で影響を受けた本はありますか。

 『媚びない人生』(ジョン・キム/著 ダイヤモンド社)という本です。人間関係に悩んでいた時に、本屋で見て、今の自分に役に立つと思い購入しました。
 未熟な自分にどう立ち向かえば良いのか、周りとどう折り合いをつければいいのか自分らしい生き方を考えるいい機会となりました。沢山好きなコトバがあります、特に「人間の生きた価値は、どれほど長く人生を生きたかではなく、どれほど濃度の濃い人生を生きたかだと思う、式にすると、濃度×長さ=人生の価値になる」「この時代に意識しなければならないこと。それは、代替されない自分を創り上げることに他ならない」などの言葉に惹かれました。
 この本は紙の本ももちろん持っていますが電子書籍でも持っており、ハイライトでいっぱいになっている本です。これまで20冊くらい買って学生や悩んでいる友人にプレゼントしました。

媚びない人生 表紙
『媚びない人生』
(ジョン・キム/著 ダイヤモンド社)

読書会を主宰する時期がおあったと伺いましたが、どのような形で行っていたのでしょうか。

 要望があり、7,8か月ほど試験的に開いていたことがありましたが、予定どおり集まるのが難しく続きませんでした。
 今は、カタチを変えて、SNSで内容を紹介したり、同じ本を読んでいたら仲間と感想など共有しあったりしています。メールでも好きなフレーズをシェアしています。


職場で読書会を開くことはありますか。

 今は働き方改革で読書会の時間の確保が非常に難しくなってきています。
 その中で、稲盛和夫さんの『京セラフィロソフィ』(稲盛 和夫/著 サンマーク出版)を2年かけて全社員で読みました。この本には、利益は何のために必要なのか、仕事への取り組み方など大切なことがぎっしりつまっています。稲盛さんの他の著書の内容全てがこれに入っていると言えます。20、30代の若手クラスと幹部クラスに分けて皆で読むのですが、毎回、会長(父)が解釈を加えて、社員がそれぞれどう思うか話し合います。
それこそ「輪読」です。

京セラフィロソフィ 表紙        京セラフィロソフィ
               『京セラフィロソフィ』
          (稲盛 和夫/著 サンマーク出版)

会社全体で稲盛さんの本の輪読とはすごいですね。

 稲盛さんの本は特別です。あそこまで熱い言葉を感じる本はなかなかないです。
 読み終わった後は、2.3日ほかの本を読めないくらい考えることがあります。
 表面的なテクニック本はすぐに読めて実行できるし、それでも役には立つのですが、稲盛さんの本はその類の本とは違います。


そのほか会社として本を活用することはありますか?

 内定が決まった学生さんに、入社後の働き方などをイメージできるよう、稲盛さんの『働き方』を送っています。
 また、以前発売された「もしドラ」(『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの 『マネジメント』を読んだら』  岩崎夏海/著 ダイヤモンド社)や『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎/著 マガジンハウス)などチームワークや人生の原理原則を学ぶため本を提供しました。
 幹部には、経営に関する情報・業界のスクラップ記事や動画、ウェブサイト、本のフレーズを紹介するなどしています。

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら 表紙
 『もし高校野球の女子マネージャーが
ドラッカーの『マネジメント』を読んだら』
 岩崎夏海/著 ダイヤモンド社
君たちはどう生きるか 表紙
 『君たちはどう生きるか』
 吉野源三郎/著
マガジンハウス


本はいつ読んでいますか?

 就業前や、寝る前、昼休みの空いたとき、意識して10分でも時間をみつけては読むようにしています。


経営者の方は忙しくて時間をみつけるのが難しそうですが。

 確かに経営者になったとたん会合が増え、読む時間、インプットの時間が減りました。それでも、懇親会などは、一次会は参加しても極力、お酒を飲まないようにし、早く帰り、家族の時間等を確保するようにしています。自分の優先順位を意識し、時間を見つけていきたいです。


ご自身はなぜ本を読むのだと思いますか?

 本を読むとその著者の肩の上に乗って、ひとつ目線を高くできるような気がします。
 10年経って今やっといろいろ取り組んできたことの成果が出てきています。
 自分の発する言葉や取組みの深み、成果の背景には自分も皆も読書など学んできたことの積み重ねがあるのかなと思います。
 これからも、学びを沢山得るために本を読んでいきたいです。


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